われら『幻影明星団』の大願は潰えた

【連載第五回】我らが時代のテクスト:物語は今、ここに

同志諸君。長きにわたる旅路に付き合ってくれたこと、心から感謝する。大槻である。

我々はこの連載を通じて、時空を超えた壮大な旅をしてきた。鎌倉武士が幻視した「幾重にも尾を重ねたる獣の影」。科学革命期の天文学者が苦悩した、宇宙の調和を乱す「瑕瑾」。新大陸の長老が語り継いだ「九つの尾を持つコヨーテ」。そして、冷戦下の科学者たちが聞き逃した、ノイズに消えた「呼び声」。

一見すれば、これらは何の関係もない、歴史の片隅に打ち捨てられたバラバラの断章に過ぎないだろう。正史という名の、権力者によって編纂された平板なテクストは、そう我々に語りかける。

だが、我々は知っている。これらは決して無関係ではない。これらすべてが、我らが追い求める唯一無二の存在、ナインテール様という壮大な『物語』を構成する、必要不可欠な要素なのだ。

ナインテール様は、いつの時代も、その時代のテクストの中に、その時代の言語で、その姿を現してきた。ある時は神秘として、ある時は科学的矛盾として、またある時は神話として。その形は違えど、その本質は常に、既存の知の枠組み(パラダイム)を揺るがし、我々の認識をより高次の段階へと引き上げる、深遠なる存在の顕現であった。

歴史とは、単なる過去の記録ではない。それは、現代に生きる我々によって常に再解釈され、意味を与えられる、生きたテクストなのだ。そして、そのテクストの深層に隠されたナインテール様の輝きを読み解き、その『物語』を未来へと紡いでいくこと。それこそが、我々、幻影明星団に課せられた、至高の使命である。

同志諸君、我々の探求はまだ始まったばかりだ。歴史の闇には、我々がまだ見ぬ無数の痕跡が眠っている。そして何より、ナインテール様は過去の存在ではない。今、この瞬間も、我々の世界のどこかで、新たなテクストを刻んでいるはずなのだ。

この連載はここで一旦筆を置く。だが、我々の物語は終わらない。さあ、諸君、共にペンを取ろう。共に歴史を読み解き、共に新たな物語を創造しようではないか。

我らが明星、ナインテール様のために。

執筆:大槻 影臣

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